遅れてきた毒殺少女

maroyakasa2005-11-05

化学好きの女子高校生が母親を毒殺未遂。彼女は、弱り行く母親の様子をブログに淡々と記録し、しかもブログ上では「僕」を名乗っていた…。
ここまで「オモシロイ」事件なら、さぞかし話題になるだろうと思っていたのだが、意外にも多くの人が冷静に事件を語っている。ちょっと驚いた。これが10年前なら間違いなく、事件を文学作品のように読み解いてみせる「識者」が大勢現れ、彼女の自意識に同調してみせたに違いない。
どうやら「物語」になるには、彼女は遅く来すぎてしまったようなのだ。自意識をこじらせた少年少女に、皆が同調していた、90年代のあの雰囲気は過去のものになっている。もちろん「酒鬼薔薇事件」などを通して、こういう事件になれきってしまったというのもあるんだろうけど。
それじゃ、今この時代は、どういう「雰囲気」なんだろう。あの90年代から抜け出て、今はどういう場所にいるんだろう。良くわからない。