いい言葉だ。

「第3回 『闘争領域の拡大』に見るフレンチ非モテの苦悩の巻」 日刊!ニュースな本棚より引用のさらなる引用。

現代の先進社会では、「差別」は厳しく監視され、戒められている。だが、一人の人間が一人の異性を選びだしたり、一対の男女が相手を選び合ったりするのは、「差別」の最たるものなのである。不公平で、不平等なもの、それが「恋」なのである。そこに「愛」という語を付け加えるのは、日本であると西洋であるとシナであるとを問わず、欺瞞であると言わざるをえない。
『恋愛の昭和史』「あとがき――近代社会における「愛」の誤用」より

差別というのは面白いもので、恋愛に絡むものは差別でなくなる。ハゲ、デブ、チビ…。
恋愛は個人の意思であり尊重しなければならないものである。よって、恋愛対象になれなかったからといって、それは差別ではない。しかし、恋愛ができないものは、この気持ちをどこへもって行けばいいのか。差別だと立ち上がることも許されない被差別者はどうすれば良いのか。

さらに引用の引用。

「ずっと前から駄目なんだ。最初から駄目なんだよ。ラファエル、君は絶対に、若い娘が抱くエロチックな夢をかなえられない。仕方がないものと諦めなくてはいけない。自分はこういった物事に縁がないことを受け入れることだ。いずれにせよ、手遅れなんだ。いいかい、ラファエル、セックス面における敗北を君は若い頃から味わってきた。十三歳から君につきまとってきた欲求不満は、この先も消えない傷跡になるだろう。たとえ君がこの先、何人かの女性と関係を持てたとしても――はっきりいってそんなことはないと思うけど――それで満たされることはないだろう。もはや、なにがあっても満たされることはない。君はいつまでも青春時代の恋愛を知らない、いってみれば孤児だ」

『闘争領域の拡大』(ミシェル・ウエルベック)より。重いなぁ。