「モテたがり」という素質

先日、二十人くらいの規模の飲み会幹事をした。自分が如何にリーダー向きでないかが良くわかった。
会社に入ると、偉くなりさえすれば、必ずリーダー役をせねばならないし、それは仕事である以上、「嫌だ」というわけには行かない。しかし学生の時分や、友人の間におけるリーダーは、完全にボランティアだ。にも関わらず、そういう場面でさえ、リーダーを買って出たり、素晴らしいリーダー振りを発揮する連中がいる。連中の共通点は「モテたがり」であることだ。悪い意味ではない。
彼らは、人から好意をもたれるのが本当に好きだ。もちろん誰だって、人から好意をもたれるのはうれしいものだけれど、彼らの執着ぶりは凄まじいものがある。
幹事は大変だ。値段設定や場所、クーポン券の利用の有無など様々なことを考え、ネットで居酒屋を調べる。メンバーに次々とメールをうち、出欠を確認する。集まったら、スムーズに移動させる。遅れてくるメンバーを確認しておき、彼らが駅に着いたらすぐに出迎えする。酒の席でも前後不覚になるほど酔っ払ったりはせず、場の状況を見ながら、メニューを率先して頼んでいく。終わり際には、全員のお金を集める。1次会で変えるメンバーを見送って、さぁ、次は2次会だ。当然、いくつかの候補地の場所を押さえている。残ったメンバーの要望を聞いて…。あー、書いているだけで面倒くさい。こんなことをどうして率先してやりたいと思うのだ。
それは彼らが「モテたがり」だからだろう。こういった行動をしていくことで、皆から感謝され、好かれることに格別の喜びを感じるタイプなんだろう。だからこそ、計画は念入りに作られる。不測の事態への対応も早い。まさにリーダー向き。そして、当然モテる。モテに対しての執念が違うから。
一方、さして他人から好かれることに関心を持たない私は、こういったことが面倒くさくて仕方がない。感謝されても別にそこまで嬉しくない。個人的には、メンバーの出欠を簡単に管理する方法を思いついた時が一番楽しかった。まさに理系。混沌としているものを如何に整理し、管理しやすくするかに興味がある人種なのだ。
一般に理系が「モテない」っていうのは、結局、そういった混沌の整理に関心が行き過ぎて、あまり「モテたい」と思わないからなのかもしれない。