「ネットの多様性が減少する」って意味がよく分からん。

ARTIFACT ―人工事実― : ネットは多様性を生むという幻想が終わった時代に
ちょっと遅れたけど、この記事について。

「万人」とか「普通」とか何の躊躇もなく使う「普通の人」(自分流の勝手な定義でいえば、自分の価値観がない人たち。自分がどう思うかより先に他人がどう思うかが基準の人)が入ってくれば、そこには同調圧力が出てくる。

から、ネットの多様化が失われるという話。後半はともかく、前半がよくわからない。
どうも、プレイヤーの増大が、多様性の減少を引き起こすということを、自明のこととして論じているように見えるのだ。このエントリを受けた、小飼弾氏のエントリもそう。
404 Blog Not Found:多様性2.0

次に何が起るかというと、多様性の淘汰が起る。これは別にネットの世界でだけ起ったことではない。二つ以上の世界が「開けば」、必ず起ることである。パナマ「海峡」が「地峡」になった時、南米の有袋類に何が起ったか?帆船と羅針盤が「新旧」大陸を結びつけた時、「新大陸」で何が起きたか?これらを考えれば、「開かれた後」何が起きるかは充分想定できたことである。

このあと、熱力学の第二法則(閉じた系においてはエントロピーは増大する)まで出して来る。でもさ、ネットって閉じた系なのか?

ネットは常に拡大している。って書くとなんかカッチョイイけど、要するに、ブログを作るのに、別のブログを潰さなきゃいけないわけじゃない。ネットという「土地」は、ほぼ無限だ。
「普通の人」が増えることで「普通の人」向けコンテンツは増える。PVと言う視点では、たしかに「普通の人」向けコンテンツが大勢を占めるようにはなるだろう。しかし、それがどうして「マニア」向けコンテンツを消失させることになるのだ?
商売でサイトをやっている人々が、「普通の人」向けのコンテンツを配信したほうが儲かる、と「マニア」向けコンテンツの配信を止めることはあるだろう。でも、ネット上に数多くいる「好きだからマニア向けの情報を流す人々」は、「マニア」向けコンテンツの配信を止めることはない。だって、彼らは「マニア」向けの情報を流したくてやっているのだから。
さらに、検索サイトは、ダイレクトに「マニア」な情報を発信するページを引っ張ってきてくれる。これも大きい。極少数でも「マニア」はやってきてくれる。通常の店舗では、うまく「マニア」に広告しないとお客が来ないけれど、ネットは向こうが検索して勝手にやってきてくれるのだ。

ネットは将来、むしろ多様性が増大するだろう。「マニア」のためのコンテンツは残りつづけ、「普通の人」のためのコンテンツが増えていくのだから。そして新たな「マニア」のためのコンテンツも。

…って、これ、すげー普通の話だなぁ。もう3兆回くらい、ネットで交わされている話だ。こんなことをkanose氏や小飼氏が分かっていないわけが無いと思うんだけど…。多分、俺が何かを勘違いしているんだと思う。「ネットの多様性が減少する」って意味がよく分からん。