新海誠の最新作「秒速5センチメートル 桜花抄」を観た

Youtube新海誠の最新作「秒速5センチメートル 桜花抄」が上がっていたので観る。

http://www.youtube.com/watch?v=Aa4kehfqGk0

新海誠の武器は「日常風景フェチ」な点だと思う。乱雑に置かれた教室の机とか、駅の電光掲示板とか、自動販売機とか、電話ボックスとか、車両の連結部分とか。そういう我々の身の回りにある雑多なものを描かせると本当にカッコイイ。エヴァンゲリオンの電線や公衆電話なんかの影響下にあるんだろうか*1
で、内容はといえばいつもの新海誠であり、それに口出しするのも野暮な気がするんだけど…。ホント同人っぽいんだよなぁ。どっかにあるという「萌えアカシックレコード」からそのまま引っ張って来た感じ。水戸黄門より予定調和なんだよなぁ。いや、そういう需要があるのは分かるし、いいと思うけど、本人どう思ってんだろうなぁ。そのへん。
せっかくの「日常風景フェチ」なんだから、もっとリアルで、しょーもない日常を描いたら、すごく面白いものになりそうなんだけどなぁ。木尾士目の「五年生」みたいな奴。それがダメなら、非モテアニメを作るべきだよ。最強伝説黒沢の第1話をアニメ化しなさい。是非やんなさい。
いいか、少年。鹿児島に転校になるよりなぁ、25歳にもなってキスすらしたことがないほうが、どれだけつらく哀しいことか…。しかも、哀しいくせに笑けてくるんだからな。つらいぞ、ほんとに。

※投稿後即追記
こんなこと書いちゃったけど、新海誠はすごいと思う。
思春期のときに世界でただ一人の女の子ができて、その子と心が結びつきあって、でも様々な理由で逢えなくなってしまう、っていうシチュエーシュンには誰だって心が掻き立てられるさ。キスさえしたことない25歳でも、なぜか懐かしさや胸の苦しさを覚える。でも、それをそのまんま、恥ずかしげもなく、ど直球で描けないって。どうしたって、技巧でクネクネクネクネ変化球に仕立て上げてしまうって。「甘い食べ物が好き?ならこれでも食え!」って砂糖の固まりぶん投げるような真似できないよ。それをやるからスゴイよ。動物化ってやつをヒシヒシと感じるよ。参った。降参。なんつーか、癒しだね。アロマテラピー的なものを感じる。

*1:たぶん、エヴァだって何かの影響を受けているんだろうけど。こういう日常風景フェチのはしりは誰なんだろうなぁ